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1、曲げたくない。その2

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飛節の距骨滑車の軸が斜めなのは、後肢をピン!と伸ばした後に戻りにくく(曲げにくく)するためではないか??。

という超個人的な私見の話しです。

馬の肢の動きは「ホッピング」であるとは青木先生のお言葉です。
私は「飛節は曲げたくない関節」理論は、この「ホッピングである」理論に通じていると思っています。

また、

先日のアスリートホースセミナーで皆さんに見て頂いた「パテラ・ロック」の動画が示す通り馬(草食動物?)は膝蓋骨(パテラ・Patellar)によって後肢を伸びた状態に維持したり、パテラをロック状態から外す事により屈曲できるようになっていますが、

この「パテラ・ロック」のシステムから、馬は肢を伸ばすのが得意な、肢を伸ばす事が内蔵されたシステムを持っていると思っております。

恐らくこのシステムのことを
Stay-Apparatus(ステイ・アパラタス)といいます。
(装蹄の原則Ⅱ・p23)
馬が筋活動を最小限に抑えながら長時間立つことができるは、四肢の持つ安定機構(Stay-Apparatus)による。
馬は立ったまま寝る事ができると言われており、体重を支えるために必要な筋のエネルギーも立っている時は最小であるが・・・

つまり、肢を伸ばして、パテラ・ロックを使う事により、効率よく立っていられたり、立ったまま寝られたりにするのです。

私はこの「パテラ・ロック」を2年前のシャロン・メイ・デイビス女史の解剖セミナーで目の当たりにして大変驚きました。

実は、この四肢安定機構(Stay-Apparatus)は前肢にも存在します。
後肢ほど骨と骨とがガッチリと止まるものではないのですが、上腕骨の肩先の関節の骨頭と、肩端の関節渦?にわずかの凸凹関係のひっかかりあり、そこが引っかかると同時に体重を上から乗せると安定するそうです。

私はこの前肢のパテラロック様の支持機構の存在で、
「後肢にあるものは前肢にもあり、前肢にあるものは後肢にある。」
という勝手な公式を考えました。

まわりくどくなりましたが、馬は肢を伸ばすのが得意な動物であるということから、飛節の距骨滑車の軸がずれているのはその一因でもある。

という仮説の話でした。

まだ続きます。

飛節の仮説。続きの続き。

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飛節の距骨滑車の軸がなぜ肢軸とズレているのか??。

自分なりに考えてみました。

1、曲げたくない。(逆説的な考え)

肢軸と同一線上に距骨滑車の軸があると、当然力が伝わりやすい。すなわち馬体と地面との力のやり取りがスムーズに行えます。
しかしながら、スムーズに力が伝わりやすいデメリットとして、
「伸ばした飛節がたたまれやすい」のではないでしょうか?。

せっかく関節を伸展させても、すぐに屈曲するようでは効率が悪く、筋肉量もそれだけ余分に必要です。

軸をずらすことによって肢を突っ張りやすく、飛節を曲げにくくします。

肢を突っ張ることによってエネルギー効率良く走ることができ、立ったまま寝れたり、肉食動物から逃げられるスタミナを手に(足に?)したのではないでしょうか?。

https://youtu.be/3wbJZ_kVhww
スローモーション

馬の飛節は、カンガルーやバッタのように屈曲した関節を伸展させて馬体を前に動かすのではなく、どちらかというと突っ張って、後ろからきた荷重を前に送り出しているのではないでしょうか?。
(厳密には少し曲がっているようですが。)

馬が飛節を曲げるのは、身体を前に出す時ではなく、後肢を前に送り出すときだと思います。

続く。

飛節の仮説。続き。

普通の事は普通の人が考えれば良し、
おかしな人はおかしな考えをしても良し。

そんなわけで、おかしな私はおかしなことを考えます。
すべてはマイノリティー(少数派)からはじまります。

「なんで飛節の距骨滑車の軸はずれているのか?。」

何人かの獣医師、ライダー、トレーナー、整体師さんに聞いてみました。

一番多かった答えは、「後膝がお腹に当たらないように」でした。

馬の解剖学者でトレーナー・マッサージ師でもあるシャロン・メイ・デイビス女史に聞いても、青木先生に聞いても、「後膝がお腹にあたらないように。」でした。

なるほど~。

一時は納得したものの・・・ つぶさにレッスンのキャンター(変換がめんどうなので)を見ていると・・・

いやいや、お腹にぶつかるほど後膝が動いているようには見えないような・・・。
まぁ、歩度や乗り方などにもよりましょうが。

確かにギャロップまでくると脾腹くらいまで後膝はきてますが。

皆さんもご存じの通り馬にとってギャロップは非日常なので、進化の過程でギャロップ(ジャンプも)に合わせて距骨滑車の軸をわざわざずらしますか???

と、思うのです。

ま、「お腹に当たらないように。」が主な理由かもしれませんが、もっと日常的な理由は無いのか??と、考えてみました。

その1(自分で考えたんじゃないのですが、聞いてみました。)

茨城県は利根町にある乗馬クラブにオーストラリアから馬の整体師がいらしたので、その先生にも聞いてみました。

「たぶん、馬は曲がる時に後肢を斜め内側に入れるからではないか?。」(通訳者談)

なるほど!!! この答えにはロマンを感じました!。

距骨滑車は前から見ると左右それぞれが外側に傾斜して「ハ」の字型になっています。
それぞれの肢が内に入ると、確かに斜めであった距骨滑車は地面に対して垂直に近づきます。

その2(聞いてみました)
そもそも、滑車の傾斜角度ってどんな角度なんだろうか??
と思い、真っ直ぐなパイプに距骨滑車をあてがって動かしてみました。
すると、捻転歩様と同じ動きをしました。

この捻転についてどう思うか聞いていたら、K山君というスタッフが
「コークスクリューパンチみたいなものでは???。」
つまりひねりを加える事によって、力の伝え方を強くするということです。

これもロマン的に合格です。

ちなみに私はこの「捻転を生じる距骨滑車の角度」で、馬の後肢はもともと捻転する要素を持っているのではないか??と思います。
(違うかもしれないけど・・・)

まだ続く。

飛節の仮説。

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 しつこいようですが、これは個人的な勝手な見解です。

 さて、なんで距骨滑車が肢軸に対して斜めなんでしょうか??。
 その不自然さを自分なりに考えてみました。こういうことを考えるのがたのしいのです。

 「いや、そういう骨格だから。」と言われてしまうとそこまでなんですけど・・・。
 確かに飛節から管骨が屈曲、集合してますね。(1枚目の写真)
 でも、それで終わるとロマンが足りないんですよね。

 ちなみに、この飛越をしたから撮影した写真を見て私が思ったのは、前が2輪の3輪バイクに似てるな・・・という事でした。

 前肢で走行中のバランスをとり、後肢は身体の中央軸に集めることによって、推進力の効率化を図るためかと思います。

 それはさておき。

 なんで斜めなんだろう?。

 関節の角度をぐぐぐぐっと曲げる進化の過程は大変だったと思います。
 ウマはわりと早い段階で距骨滑車のナナメ化を獲得していたようです。(なにヒップスか忘れましたが、府中の競馬博物館の展示で見ました。)

 なんでこんな不自然な・・・?
 なんでこんなに曲げにくい・・・?

 曲げにくい???

 あ、

 曲げたくないのではないか?な??。

 ~勝手な仮説~
 「飛節は曲げたくない関節なのではないか?。」

 考えることは楽しい事です。続く。

 では、よい休日を~。

 そう言えば、競馬博物館では撮影禁止だったので、メモ帳にスケッチしていたのをおもいだしました。

 非常にざっくりとしたスケッチで大変恐縮ですが、メソヒップスからすでに距骨滑車は斜めになっているようです。

 

懲りずに飛節の話。

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 ブログを担当して5年目です。

 5年目にふさわしく、少し面倒くさい独り言をやろうかとおもっております。

 先日宇都宮の装蹄教育センターで行われましたアスリートホースセミナーにて稚拙ながら動画や写真で発表させていただいたのですが、振り返って反省すると文字で何一つ示しておらず、つまるところ何が言いたかったのかとか、残るものがなかったとか・・・
 まぁ、とにかく反省しました。

 改めて、ブログで文字にしてみようかと思い立ちました。

 内容は日々の仕事で疑問に思った勝手な仮説です。

 勝手な独り言と思って流しながら読んでいただけたら幸いです。


 ~ なんで? 飛節の踵骨滑車は斜めなの?? ~

 誠に残念その1 
 生々しいので解剖時の写真はアップできません。

 誠に残念その2
 骨標本の足根骨のパーツが欠如しており完全体ではない。
 (写真)

 以前も当ブログで書いたと思うのですが、何で飛節の距骨滑車が肢軸にたいして斜めになっているのか??。

 実は仕事をしていて日々思うのは、前肢のハ行よりも後肢のハ行のほうが難しいのではないか?? ということです。

 たぶん、この軸のズレが原因(の一つ)ではないのか? と、思いました。

 いや、アシは外望上真っ直ぐなんですよ、距骨滑車の軸だけが肢軸に対してナナメになっているんです。

 下肢部の趾関節は肢軸に対して垂直、地面に対して水平になっているんですね、これは、力を効率よく伝達するのに当然な形態だと私は思います。

 馬体からの地面を蹴る力と、蹴った地面からの返って来る力との、力のやりとりが非常にスムーズにいくようになっていると思うのです。
 理にかなっていると思います。

 初めて見た時には奇形かな? と、思いました。
 改めて手持ちの本何冊かで確認をしたところ、奇形ではなく、どの馬の距骨滑車も肢軸に対してナナメになっています。

 ・・・ なんで ・・・?

 普通に力の伝達効率を考えれば、蹄関節や球節のように肢軸に対して垂直に、地面に対して水平に関節をもってくればよいのではないか??。

 ・・・ なんで ・・・?

 よく言われているのが、飛節内腫はこの距骨滑車がナナメになっていることが原因の一つである。ということ。
 構造的欠陥ですね。

 しかしながら、なぜ、馬たちは飛節内腫の頻発という構造的欠陥のリスクを取ってまで距骨滑車が斜めになるように進化したのでしょうか??。
 牛やイヌは真っ直ぐだそうです。

 ちなみに、
 超個人的意見ですが、この問題に対する正解はまだ無いと思っています。

 ちなみのちなみに、
 この問題を解決できたからといって、演技のパーセンテージが上がるわけでも、飛べなかった障害が飛べるようになるわけでもございません。
 でも、もしかしたら、このことがわかると、馬の真実に少し近づくことになるかもしれません。

 馬の(アシモトの)メカニックとして、馬体構造の基本を知る事は大切なことです。

 はてさて・・・ なんでなのでしょうか???。

 私なりに(勝手に)仮説を立ててみました。

 みましたけど、長くなりましたので次回に続きます。
 

音。

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馬に踏まれて・・・

「ポキリ。」

聞こえたのは、心が折れた音でした・・・。

まだ6日しか使ってなかったのに・・・。
(T_T)

ジャンクション違い。

こんにちは。(・∀・)ノ

先日の総会で、PC 係 3期目となりました。 

よろしくお願いいたします。m(__)m

軽いショックをうけつつ、引き継ぎで渡すはずだったファイルを助手席に、漫然と渋滞の中央道を八王子から帰路についておりました。総会の帰り道。

高井戸渋滞を乗り越え、箱崎に。

漫然とした放心状態の運転で、箱崎の渋滞に。
箱崎ジャンクションと言えばレンガだよね~… と、弱い独り言。

ウル覚え。

箱崎ジャンクションは東京拘置所だか、刑務所だかの跡地に建てられたジャンクションで、そこの囚人の作業でレンガが作られていたとか、いないとか。

そのレンガで東京駅ができているとか、いないとか・・・。

??? どうだったっけ ???。

ググって驚き。

ジャンクション違い。

東京拘置所跡地に建てられたのは小菅ジャンクション(常磐道×C2?)でした。

レンガは作られておりましたが、そのレンガで東京駅はできてません。
昔の銀座、煉瓦街が小菅のレンガで造られたそうです。

ちなみに東京駅のレンガは埼玉県深谷市産のレンガだそうです。帝国ホテルも。

色々違ってすいません。m(__)m

ちなみのちなみに、深谷市は日本煉瓦製造株式会社があり、社長であった渋沢栄一の出身地だそうです。
渋沢栄一は日本資本主義の父として有名で、他にも銀行やら、鉄道会社やら、色々な会社の設立に関わった人物で、著書「論語と算盤」も有名です。

以前、「論語と算盤」を拝読させていただきましたが、「とにかく真面目に頑張れ」と書いてあったように思います。

今後、小菅ジャンクションで渋滞にはまったら、以前そこで焼かれていたレンガに思いを馳せ、渋滞を乗りきってみてはいかがでしょうか??。
m(__)m

そんなワケで、もう2年お付き合い下さい。m(__)m

第22回 関東装蹄師会 総会 が行われました。

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平成31年3月17日(日)、八王子エルシィにおきまして

第22回 関東装蹄師会 総会

が行われました。

参加者は20名、議決権(委任状含む)39/46で成立しました。

例年通り、平成30年事業報告、同収支決算報告、平成31年事業計画(案)、平成31年予算案が主な議題でした。

今年は役員改選の年でもありましたが、

ありましたが・・・

ありましたが・・・

会計が新たに北澤装蹄師、会計補佐が市村装蹄師が着任した以外は役員据置きとなりました。

第7回 スポーツ&アスリートホース 装蹄セミナーが開催されました。

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 平成31年2月22日(金)、宇都宮にあります装蹄教育センターにおきまして、

 第7回 スポーツ&アスリートホース 装蹄セミナー

が開催されました。

 特別講演 高橋先生(JRA競走馬総合研究所)
 プロトコール  富山先生 (日本装削蹄協会)
         斎藤先生 (クレイン装蹄師会)
 ランチョンミーティング  藤平装蹄師 (関東装蹄師会)
 カラダメンテナンス   木村装蹄師 (クレイン装蹄師会)
 蹄の馬場への沈み込みを考慮した装蹄法 染谷先生(日本装削蹄協会)
 合同調査    関東装蹄師会、クレイン装蹄師会
 症例検討会   クレイン装蹄師会、関東装蹄師会
 など。

 今年も各乗馬装蹄師のお互いの経験や技術の発表および意見交換ができました。

 今後とも更なる研究発表、活発な意見交換、情報の共有が望まれます。

第20回 獣医師生涯研修 に参加させて頂きました。

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 昨年に引き続き、今年も全国公営競馬獣医師協会主催の獣医師生涯研修に関東装蹄師会より参加させて頂きました。(@那須・地全協教養センター)

 2週間に渡り14講座が開かれ、私は麻布大学、石原先生の「馬の跛行診断・診断麻酔」と、同じく麻布大学、大石先生の「運動器疾患に係わる部位の解剖」に参加させて頂きました。

 跛行診断では実馬を用意し、実際に屈曲試験とAAEP grade (0~5)という跛行グレードに照らし合わせて丁寧に説明してきただきました。
 また、跛行はトリートメント(治療)ではなく、マネージメント(管理)だというのが大変印象的でした。

 解剖は、立居(立たせた状態)による解剖でした。
 馬の後肢は膝蓋骨の作用によって、筋肉を使わずに肢をピンと伸ばし立つことができるのですが、前肢にもそれに似た作用(筋肉を使わずに肢をピンと伸ばす)があると教えていただきました。この作用により、馬は立ったまま寝ることができると言われております。(馬以外の立ったまま寝れる動物はこの作用を持っているそうです。)

 私は個人的に、この支持作用は馬の肢の運動の根幹だと思っています。また機会がありましたら是非解剖に参加したいと思っております。

 大変勉強になった2日でした。
 参加させて頂きありがとうございました。