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情熱大陸第2段  ~5連覇を支え続けた男~

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先日行われた愛媛国体にて、東京代表細野茂之選手と将軍Ⅰ(ファースト)が国体総合競技において大会5連覇の偉業を達成しました。

細野選手はおおよそ鞍に股がる人ならその名前を知らない人はいないくらいの選手ですよね。オリンピックに2度出場、国内外の大会で活躍している(た?)名選手、現在は八王子乗馬倶楽部を率いる傍ら日本馬術連盟の総合本部長を勤められている人物です。

同一人馬による、同一競技の5連覇は恐らく今後破られることはないのではないか?? ともささやかれています。

細野選手の経歴はこちら。(N大さん勝手にリンクすいません。)
   ↓
http://www.nu-equestrian.com/about/staff/hosono/

で、

ここは装蹄師さんのブログです。

実は、この5連覇の偉業の肢元を支え続けた人物が、関東装蹄師会・副会長でもある魅惑の低音ボイス、鮎澤装蹄師その人です。

そこで、今回は鮎澤さんにスポットをあててみたいと思いました~♪。

情熱大陸第2段 v ( ̄ー ̄) です。

情熱大陸的オープニング
   ↓
https://youtu.be/iGts955svO8


 ~プロフィール~

名前   鮎澤 邦彦(あゆざわ くにひこ)
     1970年9月24日生まれ  東京出身  
経歴
   日本動物植物専門学院卒業後、(有)八王子乗馬倶楽部入社 装蹄教育センター1期生を経て2000年独立開業し現在に至る。

主な活動エリア 現在は専ら(有)八王子乗馬倶楽部所属馬匹と近隣の装削蹄業務
対象   乗用馬のみ

                     
~パーソナルな質問~

好きな食べ物    お酢すっぱい食べ物(酸辣湯麵やよっちゃんイカやお酢のさっぱり煮等々)
好きな場所     強いて言うなら自宅(引きこもりではない)
好きな芸能人    木村多江 ⬅ 渋っ! でもわかる。私も好き。
好きな本      自動車雑誌を眺める
最近はまっていること、趣味、ストレス解消法など。
          整体通い(マッサージが身体に染みる年代になりました)
座右の銘
        『明日やろうは馬鹿ヤロウ』(せっかちなだけ?)

                     
~仕事のお話~

 まずは担当馬匹である将軍Ⅰ(以下将軍)の5連覇達成おめでとうございます。

・5連覇達成の知らせを聞いてどうでしたか?

 競技会での成績は、細野茂之選手の豊富な経験と馬のポテンシャルとのコンビネーションで掴み取った栄光ですが、そこに関わる事が出来た一員として嬉しく思っています。結果として連覇を重ねて来ている事によって次への期待値が高まってしまう事には若干の戸惑いは感じてしまいます。

・競技前のプレッシャーはありませんでしたか?

 競技場での成績はライダーと馬に委ねられてしまいますが、競技会に向けて順調に調整やトレーニングを
積むことが出来て、厩舎を馬運車で出発する時までは担当装蹄師としてのプレッシャーを感じますね。

・装蹄時の将軍はどんな馬ですか?くせとかはありますか?苦労した点とかありますか?

 将軍Ⅰ号とは、日本に輸入されてからおよそ9年の付き合いになるかと思いますが、当初から落ち着きがあり気性的な波の少ない様に感じています。ですが注意力は鋭い様で曳いて来る際に決まった場所で立ち止まり、確認してから歩き出すような一面も持ち合わせている様です。
 肢勢蹄型についてはあまり悩まされた記憶のない健康優良馬(?)です。しかしここ数年はオフシーズンには長期放牧に出しリフレッシュさせる事も長く活躍できる要因の一つだと考えます。

・使用している蹄鉄、蹄釘の種類、特殊なパットなどありましたら教えてください。

 連尾蹄鉄使用の時期もありましたが、日々ケアをしてくれているスタッフの支えもあり現在はいたってノーマルな装蹄で済んでおります。

・削蹄時に気を付けているポイントがありましたら教えてください。
 
標準肢勢、標準蹄を目標にしたいところですが、長い四肢を備えた馬ではそれぞれの肢に特徴が表れると思っていますので、一つ一つ見逃さない事に注意しています。

・装蹄師になろうと思ったきっかけはなんですか?。
   
 乗馬クラブに就職が決まったものの学生馬術の経験もない私に、当時の出入り装蹄師さんに体格的に見込まれ(特に短足っぷりらしいです)誘われたのがきっかけです。
 後に山本隆幸装蹄師に師事し、装蹄師という仕事の厳しさ、難しさ、楽しさ、少しのいい加減さ?(良い加減です)を叩きこまれ現在に至ります。

・各種競技馬やスクールホースなどで打ち方を変えたりしますか?
   
装蹄の基本は大きく変わらないと考えますが、競技会に向けての調整がしっかりしている競技馬よりもとかくオーバーワークになりやすいスクールホースの方が肢蹄にかかるストレス大きくなり易い為、装蹄には神経を使っているかもしれませんね。

・今後の抱負がありましたら教えてください。
  
装蹄師としての経験も浅かった私に多大な経験を積ませて戴けた(有)八王子乗馬倶楽部様はもちろん、大切な馬匹を預けて戴けたオーナー様方の期待に少しでも答えるべく努力したいと思います。

・装蹄師になって良かったと思う瞬間はどんな時ですか?。
   
 正直に言って、ほぼ無いです。後悔先に立たずです(笑)。
 担当馬が順調に運動していても故障しても『もうちょっとよく出来たのではないか?』と自問する日々ですが、競技場で故障落鉄無く戻って来れたり、次回装蹄機会まで無事だった時に『大丈夫だったよ』と一言もらえた時に良かったなと思う時もあります。
 ただ、次の瞬間から『もうちょっとよく出来たのではないか?』という自問に襲われます(泣)

・最後に、あなたにとって装蹄とは何ですか?(お約束)。
   
 より馬に密接に関われる仕事として自ら選んだ道ではありますが、日々頭を悩ませる『悩みのタネ』としての側面も大きいのも確かです。

 
鮎澤さんご協力ありがとうございました。
同じ仕事をする者として「悩みのタネ」に深く共感いたします。
これからも頑張ってください。

5本肢。

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先日、削蹄しました5本肢のサラ。

遺伝ではないそうです。 突然変異でしょうか??。

3指馬への部分的先祖返りでしょうか??。

右前球節の内側に大きめの副蹄のように出っ張ってくっついております。

腱は恐らくなさそうなので、触るとブラブラしています。

形状はクラブフットのようにみえます。

硬い蹄壁が「0」状になっており、中央に蹄底になりそうだった狭い空間が認められました。

おおむね駐立状態で削蹄できました。(可能な限り)

右前の内側なので、左側からの作業でしたが、左前肢が邪魔でたまりませんでした。

左前、前膝から切っていいか? と所有者に聞いてみたところ、それはダメと言われました。 蹄の数は4個になるからいいじゃんか・・・。

1歳牝馬だそうです。

第5回 スポーツ&アスリートホース 装蹄セミナー が行われました。

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平成29年 2月3日(金) 装蹄教育センター(宇都宮)にて

第5回 スポーツ&アスリートホース 装蹄セミナー が行われました。

クレイン装蹄師会の主催です。

この会は主に乗馬の装蹄師、獣医師の有志により発足した会で、現場の装蹄師、獣医師のための研究発表、及び勉強会です。

今回のメインテーマは「ナビキュラー症候群」でした。

ナビキュラー症候群は発症する原因もわかっておらず、診断するのも難しい症状です。
発症すると長い治療期間が必要になり、また対処方法も確立されていないので、個人の経験からくる技術等に頼っているのが現状だと思います。
ナビキュラー症候群を、骨格等の基本的な構造から学び、症状の種類の把握、またそれに対して、装蹄サイド・獣医サイドからのアプローチ方法を会場に集まった人たちで共有し、より良い対応に役立てるのを目的としました。
(配布資料より抜粋)

私、個人の感想としましては、教科書から教わる一方通行的授業よりもこういった双方向型の勉強会で自分で悩み、考える方が刺激的で面白いと思いました。

100点満点の答えはきっと現場にはありません。

100点に近づけるよう日々悩み、トライ&エラーを繰り返し、努力をしています。
こういったセミナーに参加することで、最新の知見、ほかの人のやり方、考え方を学ぶことによって正解ににじり寄ることができるのだと思います。

また、このセミナーに獣医師も数名参加(主催)していただいておりますが、同じ情報、知識、技術、問題などを共有することにより、馬への対応がお互いによりスムーズになり、それは馬にとって一番重要なことになると私は思います。

当初私の装蹄用車が故障してしまい参加をあきらめていたのですが、無理して軽トラで駈けつけて良かったとおもいました。
今後ともこのセミナーが継続されることを切に願っております。

鉄床の作り方 など。

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そろそろ鉄床を作りたい・・・

そう思ったあなたに朗報です。 こちらの本に紹介されていました。

かくまつとむ著
「鍛冶屋の教え」 小学館文庫

① 5~6人集めます。
② 河原へ連れていきます。
③ フイゴを2台河原にセットして火を起こします。
④ 1つ10kgくらい(予想)の地金の塊を3個くべます。
⑤ 2つが赤くなったら、接合面に乾いた砂をまいて、合わせてバンバンたたきます。
⑥ 同じ要領でくっついた2つの塊の底にもう一つくっつけます。
⑦ これでおおむね30kgです。
⑧ 上面に土台より少し大きめの玉鋼(和鋼)をつけ、四方を畳むように折り曲げ囲みます。
⑨ 頭の部分を焼いて、みんなで川に運び入れ焼き入れ完了です。
⑩ みんなで祝杯をあげ、出来た鉄床は独立する弟子に持たせます。

さあ! レッツトライ・アンド・エラー!!

今度の研修会の研修内容に推してみようかな~♪。
  ※ 角のあるタイプの鉄床ではありません。
  ※2 写真2枚目のハチノスの上にある四角いブロックが野鍛治の鉄床です。

フイゴというのは「降り子・フリコ」からきていて、天からいただいた大切な道具だそうです。

天から落ちてきたときにミカンの木に引っかかっていたので、フイゴ祭りの時にはミカンを撒く風習があるそうです。

むかーーし むかしは、「米と鉄」を持つ者が強かったそうです。
つまり、「保存食料」と「武器・農具」です。

その一端である「鉄」を自在に操れるようにしてくれた「フイゴ」は昔から有り難いものだったようです。
 d (`ヘ ´ )

腸は超大事。

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先日、とある乗馬クラブで「腸は超大事」で有名な大和高原動物診療所の斎藤先生とお仕事をしたので報告させていただきます。

経過の悪い蟻洞症例馬、右前肢。

レントゲンで肢軸や血管の分布状況をチェックしながらの作業でした。

どうやら疼痛によって?あるいは蹄壁の欠如によって?傾いた蹄骨が血管や神経?を圧迫して痛かったようです。
写真オレンジ丸部分の血管が薄くなっているようですが、この程度なら治りそうだとのことでした。

痛いと思われる部分に粘土を詰めて、エクイパックCSを充填、硬化したら粘土を除去して疼痛蹄底部分に空間を設けます。

釘付けが痛くてできないのでアルミ製の蹄鉄を接着装蹄しました。

その場でレントゲンで肢軸や血管が見れるってすごいですね。
蹄葉炎や蟻洞治療の場合血管を見るのが割と重要だそうです。
血管があれば血液が流れるわけだから、栄養分も運ばれてきて組織の再構築が期待できますからね。
今後の蹄葉炎、、蟻洞の治療における大きな判断材料となると思います。

先日、装蹄後1か月経過した様子を見ましたが、良好のようです。(写真1枚目)

斎藤先生の流れるような一連の動きがスバラシイと思いました。
ダジャレだけじゃなかったんだ・・・。
(゜ロ゜;

「腸は超大事」を今年の流行語大賞押しでいきたいと思います。

新しい道具の紹介。

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先日リサイクルショップ(古道具屋)にて、半丸のヤスリをみつけました。

普通半丸ヤスリというと、金属用の目の細かい、細いものならホームセンターでも見かけるのですが、目の粗い、大振りのものは初めて見ました。

こいつは使える・・・。

鉄唇の座位を彫るのに・・・使える・・・。

実際に使ってみたら、なかなかに使い勝手がよろしいです。

ハーフラウンドのセンカンでつまんだ後に、肢を台の上にのせてシュッシュッ」・・・と・・・。

必要以上に蹄尖を鑢削することなく、鉄唇を据えこめます。

興味のある方はお試しください。m(__)m

新品を金物店で取り寄せてもらいました。

製造元 株式会社 石駒
木工ヤスリ
半丸
鬼目 250mm(刃幅) 柄なし
NITTO
3,000円程度

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