装蹄競技大会特集

第73回 全国装蹄競技大会

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令和4年(2022年10月17日(月))栃木県宇都宮市にあります、公益社団法人・日本装削蹄協会・装蹄教育センターにおきまして、第73回農林水産祭参加、全国装蹄競技大会が行われました。コロナの影響もあり3年振りの開催でありましたが、やはりまだコロナを考慮し無観客での全国装蹄競技大会となりました。本会からは予選会を突破した平野大純、武藤涼、大和凌太(敬称略)の3選手が参加しました。他の選手も各地方会の予選会を突破した強者ばかりです。

写真:左から 大和、武藤、平野各選手

予選

全国大会は午前中の予選と、午後の本選になっています。27名の参加者を16名にまでグッと絞ります。27名を9名ずつの3グループに分け、造鉄競技、装蹄判断競技、インターバルと3会場に分け、ローテーションを組み効率良く進行していきました。

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午前の予選の造鉄競技は「標準07タイプ」という種類の蹄鉄の後肢(左右1対)をそれぞれ1本の鉄カン(棒)から焼いて、叩いて、曲げて造ります。(25分)同時期に装蹄判断競技という装蹄時における馬の肢(アシ)のカルテの筆記試験を行います。(25分)造鉄(後肢07タイプ・ペア)と装蹄判断競技との点数で上位16名が午後の本選に進めます。本会では武藤選手が本選に進むことができました。

本選

いよいよクライマックスの午後の本選です。16名の選手が8頭の馬のそれぞれくじ引きにて割り当てられた右前肢か左前肢を削蹄し、1本の鉄カンから造鉄したオーダーメイド蹄鉄(標準07タイプ前肢)を装蹄し完成度を競います。同時に同じサイズの「全溝連尾蹄鉄」も造鉄し、提出します。(60分)

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選手の皆さんは例外なく汗だくで、体力的にも限界に近いのではと思って見ておりましたが、集中力を絶やさず最後までハンマーを振るっている姿にただただ関心するばかりでした。

3年振りとなりました第73回 全国装蹄競技大会の栄えある最優秀賞は北海道日高装蹄師会 大東正史選手でした。無観客の中粛々と、しかし熱い戦いの幕は降りました。また来年も無事に開催されることを願っております。

第6回 関東・クレイン装蹄師会合同装蹄競技大会

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全国各地の営業所で活躍するクレイン装蹄師会と我らが関東装蹄師会の代表が激突する真夏の恒例行事「関東・クレイン装蹄師会合同装蹄競技大会」も早いもので第6回を迎えました。
振り返れば第1回大会~第3回大会まではクレイン装蹄師会の伊藤選手の三連覇で、関東装蹄師会勢は苦戦をしいられてきました。
しかし、その後の第4回・5回大会では我ら関東装蹄師会の佐藤選手が二連覇でリベンジ!
勢いに乗る関東装蹄師会(以下、関東装)勢は、ここで一気に勝敗を3対3の五分に戻すべく気合いを入れて臨みました。
そして見事に平野選手が初優勝で、関東装の3連覇達成!勝敗も3勝3敗のタイに戻しました。
これまでも平野選手は常にこの大会では上位の成績で準優勝も何度かありました。
そんな実力派!平野選手の戦い振りをレポートしたいと思います。

写真:標準蹄鉄07タイプ造鉄中の平野選手

第6回とはいっても大会の競技内容は毎年同じではなく、その年ごとに少しづつ変わります。
平成22年の今年の競技課題は「造鉄(鉄の角棒から蹄鉄を手作りで作成する)」に主眼をおいた競技課題でした。

第1競技 標準蹄鉄05タイプ造鉄競技 制限時間20分

この競技は、既製品の蹄鉄を手作業(電動・油圧の工具は使用禁止)で作成する種目です。
「標準蹄鉄05タイプ(後々どの馬の蹄の形状にも対応できるような既成の規格の蹄鉄)」の前肢用と後肢用の蹄鉄各1個を制限時間20分以内で完成させます。
当然、材料の加熱時間も競技時間に含まれますので、選手が作業出来る時間は本当に短くて、大忙しで作成しなければなりません。

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鉄は熱いうちに打て!「火(ほ)炉(ど)」と呼ばれるコークスを燃料とした炉で加熱します。

この日の気温はなんと37度!何もしなくても暑いですが、選手たちは火炉の熱気の自らの気合いで、壮絶な暑さの中での競技となりました。

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猛烈な暑さもなんのその!選手たちは黙々と競技を続けます。

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真っ直ぐだった棒が少しづつ曲げられていきます。

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溝や釘を打つ為の穴が開けられ、徐々に蹄鉄の形状が完成していきます。

より、定められた規格に忠実な作品を作成した選手が高得点を得ることになります。
完成した作品は別室で審査員によって採点されていきます。

第1競技 途中経過

  • 1位 平野選手(関東装蹄師会)
  • 2位 舩橋選手(クレイン装蹄師会)
  • 3位 伊藤選手(クレイン装蹄師会)

この時点で平野選手が1歩リード、しかし点差は僅か!まだまだ気が抜けません!
そして、選手たちには途中経過には一切伝えておりません緊張はまだまだ続きます。

第2競技 イーグルアイ競技 制限時間20分

先程の第1競技とは違い、今度は実際の蹄の形状に合わせて蹄鉄を作成します。
とはいっても選手に蹄の観察が許されている時間は10秒(蹄に触れたり、定規で測尺することは禁止)だけです。
観察力と記憶力、そしてそれらを作品として完成させる技術力が問われます。
そして競技時間は20分迅速さも求められます。
第1競技とこの第2競技は実際に馬の装蹄に必要な技術が凝縮されています。
ですから、この2つの競技の合計得点で「装蹄部門の部門賞」を決定するのが今年のルールです。

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蹄を観察中のクレイン装蹄師会、舩橋選手

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形状を観察した蹄の形状にすることだけでなく、実際に釘を打てば使用可能な状態に仕上げなくてはなりません。

鉄尾と呼ばれる蹄鉄の端を丸く切り落とす作業!
蹄のサイズに合わせるだけでなく装着時に他の馬や自らの肢を傷つけたり、
踏みつけて落鉄することを予防する大切な作業!勿論競技の課題でもあります。

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銀線と呼ばれる蹄鉄の縁をヤスリで削って角に丸みを設ける作業!
馬が自身の蹄鉄を踏みつけてしまっても引っかかりにくくして、落鉄を予防するこちらも大切な作業!
頭がトレードマークの関東装の廣川選手も奮闘中!
実際に馬に蹄鉄を装着できるようにするためには、ただ形状を蹄に合わせるだけではダメだということがお解りいただけましたか?

そしてこの競技、厳正なる審査の結果…

  • 1位 平野選手(関東装)
  • 2位 舩橋選手(クレイン装)
  • 3位 佐藤選手(関東装)

となりまして、第1競技と第2競技の合計「装蹄競技の部門賞」は

  • 1位 平野選手(関東装)
  • 2位 舩橋選手(クレイン装)
  • 3位 佐藤選手(関東装)

という結果になりました。平野選手が他を大きくリードしています。
ですが、この結果はまだ選手は知ることができませんので、最終競技まで白熱した戦いは続きます。

第3競技 標準蹄鉄07タイプ造鉄競技 制限時間25分

ついに最終競技です。この競技は先程までの第1競技の「既製品蹄鉄の作成」と第2競技の「既成蹄鉄を馬に使用するための加工修正」といった2つの要素を兼ね備えた競技です。
と言うのも、鉄(てっかん)(蹄鉄の材料となる鉄の角棒)の状態からハンマーのみの加工で最初から実際に馬に即座に使用可能な蹄鉄を作成しなければなりません。
いわばオーダーメイド蹄鉄の制作競技です。制限時間25分で前肢用と後肢用を各1個作成しなければなりません。

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最終競技中の平野選手!気温37度を超える中、述べ65分に及ぶ競技の過酷さが伝わってきます。

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競技を見守るギャラリー達、後の電光の数字が競技の残り時間です。

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暑い気温と火炉の熱気!特に柵が設けてあるわけではありませんが、ギャラリーも選手に熱くて近づけません!
離れての応援が続きます。

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第2競技では道具で切り落としが出来た鉄尾の加工、この競技ではハンマーで熱いうちに叩いて丸みを設けます。
ここの技術がこの競技の難しいところです。

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完成した07タイプの蹄鉄(左が前肢用)(右が後肢用を裏からみたもの)残念ながら、どの選手の作品かわかりません。

そして、この競技の順位は…

  • 1位 平野選手(関東装蹄師会)
  • 2位 佐藤選手(関東装蹄師会)
  • 3位 図子選手(広島県装削蹄師会)※オープン参加

ここまで来ると総合優勝は言うまでもありませんね。
結果発表!っとその前に…もうひとつ競技がありました。

新人の部 標準蹄鉄07タイプ造鉄競技 制限時間30分

ベテラン選手が第3競技で行った競技を、装蹄師資格取得から3年以内のフレッシュな選手たち限定で新人の部を行いました。制限時間は5分長い30分での競技です。

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出番を待つ菅谷選手(クレイン装)左と田中選手(関東装)右
クレイン装4名と関東装1名、オープン参加の地方競馬全国協会1名の6選手で戦われました。

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次世代の主役を担う装蹄師たちも先輩方顔負けの熱い戦いを繰り広げました。

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こちらも出番を待つ斎藤選手(クレイン装)右と柴田選手(地全協)が作戦会議中?
共にセンター15期生のピカピカのルーキーです。競技中の写真が無いのが残念!

気になる結果は…
菅谷選手(クレイン装蹄師会)の優勝でした。

結果発表&表彰式

総合優勝

  • 平野大純選手(関東装蹄師会)
    日本装蹄師会会長賞・関東装蹄師会会長賞・クレイン装蹄師会会長賞が授与されました。

第2位

  • 佐藤恭一選手(関東装蹄師会)
    舩橋秀行選手(クレイン装蹄師会)ともに同点での第2位となりました。

部門賞

  • 装蹄競技部門賞 平野大純選手
  • 造鉄競技部門賞 平野大純選手(関東装蹄師会)
  • 新人の部部門賞 菅谷和幸選手(クレイン装蹄師会)

部門賞の各選手には「顧問、宮木秀治賞」が授与されました。

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日本装蹄師会会長賞が今原会長より授与された優勝の平野選手

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クレイン装蹄師会会長賞が假家会長より授与されます。

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関東装蹄師会会長賞は鮎澤副会長から授与

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各部門賞が宮木顧問より授与

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新人の部を優勝した菅谷選手にも宮木顧問より部門賞が授与されました。

この他にも優勝選手には様々な賞品が贈られました。
終わってみれば、平野選手が終始トップを独走し他の追随を許さない圧勝劇でした。
毎年少しづつルールが変更される中、常に上位をキープしてきた実力派、今年のルールにも見事に適応してきたのはさすがだと言えるでしょう。
これで、関東装蹄師会VSクレイン装蹄師会の対戦成績は3勝3敗、どちらが先に勝ち越すのかが来年の第7回大会のお楽しみです。
来年も頑張れ関東装蹄師会!
そして優勝おめでとう平野大純選手!

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